今年は夏らしい夏日も少なく、気がつけば、風も空も虫の声も、すっかり秋の装いです。そういえば、夏真っ盛りのバーゲンでも、かたわらには秋物がところ狭し、と並べられ、赤札のミュールの横に、なんとも先取り顔満載でファーつきのブーツがディスプレイされていました。
みなさんは今年の夏はどんなふうに過ごされましたか?
私は、関わっているラジオが放送600回を迎え、その記念に公開録音ネット局回りの日々。一言で600回と言っても、12年強。当時の小学1年生は高校卒業です。「7年ぶりに聞きました」「結婚しました」「まだやってたんですね」から「友達のすすめで初めて聞きました」など、入れ替わり、立ち代り、また変わらず定期的に舞い込むハガキの数々。移り変わりの激しい世の中で「変わらない」ということのありがたさを痛感する旅でした。
小学生の悩みと35歳の悩み、どちらが軽い、重いでは決してなくて、それぞれが、それぞれの場でいろいろなことを感じて、笑って、ぶち切れて! そんな感情の塊が、毎週、一枚のハガキに乗って、私の手元にやってきます。事実は小説よりも奇なり。そんなハガキの束から、感じること、学ぶこと、教わることはとても多くて、それは間違いなく私自身の活動のエネルギーになっています。
リスナーの中には、まだMD持ってない! パソコン持ってない、ネットは授業でしかさわれない。なんて人達も実は沢山。テレビや雑誌にスタイリッシュに掲載され発表されていく新製品達。それらがまだまだテレビの中の物として眺めて憧れている世代の気持をすっかり忘れている自分に時々気付かされます。「普通」って言葉は、何においても時々危険で、自分が……、また今自分が付き合っている周りが、普通という基準だと思ったら大間違い。
いろいろなところに目を向けてないと、あっという間に凝り固まっちゃいますね。まあそんなこんなな600回放送を記念しつつ、1年ぶりに新曲が出ることになりました。辛島美登里さん作詞作曲でタイトルは「負けないで、負けないで…」最近、斜めにクールに、否定的に! がなんとなく、かっこいいとされている世の中だけど、35も過ぎて、いろいろ見てきて感じて、越えてきた人間があえて「唄」にしてみるシンプルなまっすぐさ。夏バテに、滋養強壮に是非どうぞ。辛島さんとは実に11年ぶりの再会。ただ、年を取るのではなく、充実した年齢の重ね方、楽しみ方。そのドラマチックエピソードはまたいずれ。