「女性が年を取る」という事実に世間の風はまだまだ冷たいようで……。美白、しみ、対策など、それはそれは、時を止めるかの勢いであれやこれや情報が交錯しています。季節ごとに現れる新製品たち。つぎ込むお金もなんのその。美への追究に糸目はつけない乙女たち。かたや、反対側を見ると、ばっさりとキューティクルはどこへ?な髪をゴムでがっつりまとめて、つっかけにジャージ。安売りにわらわらと人を押しのけ群がり、どう見ても「女を捨ててる」女性像も現実に存在する一つの生き方。しかしながら、やはり私は女性に生まれたからには、まあ大げさにではなく、「女」な自分を楽しむ程度の自分ではいたいなあと、思いつつ、35歳を過ぎて「年を取るとは……」なんてことをちょっと考えている今日このごろです。
化粧水すら無縁の10代。なんとなくビオレやニベアな時代を経て、そろそろ化粧の一つでもと20代に突入。自分には絶対訪れないであろうと思っていた肌のトラブルにびびった30歳。本当にお肌の曲がり角ってあるんですよ。ははは。そして、なんだかいろいろいい意味でどうでもよくなっている現在。が正直なところです。まあ、そうは言うものの、30歳を過ぎて、仕事やそれを取り巻く人間関係など、いろいろな意味で楽しめていて、肌とは関係ないところで年齢を楽しんでいるのも事実なのですが。そんな話をふとしたら、今回シングルの作詞・作曲でお世話になった辛島美登里さんは「40過ぎると、もっと楽しいわよ」と笑顔で答えてくれました。そして、そこに「うそ」はない。そういえば、今回のレコーディングでは、私とは12年ぶりの再会。にもかかわらず、「お互い年を取ったねえ」との嘆きは一つもなく、あれこれ楽しい話でスタジオは穏やかに、和やかに、事が進んでいたのです。
訪れるミュージシャンの人とも10年ぶりの再会があったり、かつてアシスタントだった人が、しっかりとど真ん中でミキサーだったり。そんな中「みんな、あのころは良かったねえ、って過去の話をするんじゃなくて、会っていない間、それぞれがそれぞれの場所でちゃんと力をつけていて、こんな形で再会して、なお、今がんばっている話ができるっていいね」と目を細めて言う辛島さんを本当にきれいな人だなあと思ったのです。それはきっと高級化粧水やエステでは出せない美しさ。そしてそんな人と一緒にいると自分まできれいになれた気がするのです。きれいになりたかったら、時に逆らわずきれいに年を取っている人を探して、そばによってみるのが一番いいかもしれませんね。